ソーシャルレンディングに、元本保証はありません。
高利回りが特徴のソーシャルレンディング。
「利回り」という言葉のせいなのか、どうか、わかりませんが、
「預金よりも利回りが遥かに高い」
として、
「定期預金よりも、ソーシャルレンディング」
という言説も、散見されます。
しかし、定期預金のような預金商品と、ソーシャルレンディングとの間では、大きな相違点があります。
それが、元本保証です。
預金等の場合、1金融機関1名義あたり1,000万円までの預金が、保護されます。
銀行が破綻したとしても、1,000万円までは、無事に預金者のもとへと戻ってくる、ということです。
しかし、ソーシャルレンディング投資の場合、そのような元本保証は、存在しません。
不動産担保がついたソーシャルレンディングファンドであろうが、
上場企業が債務保証をしてくれるファンドであろうが、
元本が棄損してしまうリスクは、厳然と、存在します。
ソーシャルレンディング投資については、時折、
「ローリスク・ミドルリターン」との形容も、されていることを、見受けますが、
私は個人的に、決して、ソーシャルレンディング投資は、「ローリスク」とは、思えません。
ミドルリスク、という程度が妥当であり、
一部の悪質なソーシャルレンディング事業者の存在も考慮に入れると、「ハイリスク」といっても、決して過言ではない、というのが、私の個人的な考えです。
実際に、延滞も発生しています。
「元本保証がない、といったって、延滞や遅延、そうそう起こるわけではないでしょ?」
いえいえ、そんなことはありません。
実際に、いくつかのソーシャルレンディング事業者において、多数のソーシャルレンディングファンドが、延滞、という状態にあります。
延滞の挙句に、最終的に返ってきた元本は、大幅に棄損されていた、というケースも、実際に、発生しています。
ファンドの延滞に巻き込まれるリスクは、もはや、決して、他人事ではないのです。
ソーシャルレンディング事業者への行政処分も複数発生しています。
本記事執筆本日現在に至るまでの間に、国内では、複数のソーシャルレンディング事業者が、監督官庁からの行政処分を受けています。
有名どころでは、2018年に、往時のソーシャルレンディング大手、maneoマーケット株式会社が、ファンドに虚偽表示があった、として、行政処分を受けています。
さらに、2019年3月には、昨年、最初の行政処分を受けたばかりの、エーアイトラスト株式会社(ソーシャルレンディングサービス名:トラストレンディング)が、2度目の行政処分を受け、登録取り消し処分という、極めて重い処分となった、という事件も、ありました。
投資家にとって困るのが、ソーシャルレンディング事業者が行政処分を受けると、そのソーシャルレンディング事業者において、ファンドの延滞が多発する点です。
理由としては、
ソーシャルレンディング事業者内のモラルハザード(=行政処分を受けてしまったし、もう、どうとでもなれ!といったような発想)がまず、挙げられると思いますが、
それ以外にも、
処分を受けたソーシャルレンディング事業者から資金を既に借りていた企業が、元利金返済にあたり、当該ソーシャルレンディング事業者に再度、借り換え用のファンド(=ソーシャルレンディングファンドをよく読み込んでいくと、借り換えファンドがとても多いことに気づくと思います)を組成してもらうことを、あてにしていたが、ソーシャルレンディング事業者が行政処分を受けてしまった関係で、そのあてが外れ、元金返済原資を確保できなくなった、という構図も、あるものと思われます。
くれぐれも、余裕資金で。
ソーシャルレンディング投資は、決して、リスクの小さい投資ではありません。
それでもなお、ソーシャルレンディング投資を始めてみよう、という方におかれましては、
必ず、少額の、余裕資金から。
決して、無理な投資は、しないようにしてください。