ソーシャルレンディングのデメリットを考える

ソーシャルレンディング投資のデメリット

ソーシャルレンディングのデメリットは何だろう。

高利回りや、投資の手軽さなど、メリットばかりが目に付くソーシャルレンディングですが、デメリットもいくつかあります。
実際にソーシャルレンディング投資をスタートする前に、ソーシャルレンディングならではの「デメリット」についても、あらかじめ、把握を済ませておくことが必要でしょう。

貸付先事業者の情報が見れない。

本記事執筆本日現在、貸金業法の規制の関係で、ソーシャルレンディング事業者の「先」にいる、実際の資金の「借り手」に関する情報は、匿名化されてしまっています。

ソーシャルレンディングのデメリット01

引用元:maneo「不動産担保付きローンファンド2073号」https://www.maneo.jp/apl/fund/detail?fund_id=6960

↑こちらは、大手ソーシャルレンディン事業者「maneo」の、「不動産担保付きローンファンド2073号」というファンドの、スキーム図です。
見ればわかる通り、

  • maneoから資金を借りる関連会社の法人名も「事業者C」とイニシャル表記されているだけですし、
  • 関連会社から資金を最終的に借り受ける事業者についても、「事業者EU」としか表記されていません。

このため、投資家としては、最終的にどのような企業に資金が貸与されるのか、出資時点ではわからず、これは、ソーシャルレンディング特有のデメリット、と言わざるを得ません。

担保物の詳細も把握できない

ソーシャルレンディングファンドの多くには、借り手事業者の所有に係る不動産が、担保物として設定されるのですが、借り手事業者の詳細情報が匿名化されている以上、当該不動産担保物の詳細についても、投資家に対しては事前開示されません。

このため、投資家としては、当該担保物の「評価額」について、ソーシャルレンディング事業者の説明を鵜呑みするしかなく、

  • その不動産の評価額は、本当に、適正なのか、
  • 本来は、もっと評価額が低いのではないか、

といった点を、事前に検証することが出来ません。

この点も、ソーシャルレンディング投資の、大きなデメリットの一つといえます。

満期償還まで資金が拘束される

ソーシャルレンディング投資の場合、出資したファンドが満期を迎え、借り手事業者からファンドへと元金返済が為されてくるまでの間、資金は、ファンドに拘束されます。
その間、投資家が「出資した資金を、一旦返金してほしい」と考えたとしても、そのような返金が為されることは、原則、ありません。

ファンドの運用期間は、ファンドによってまさに千差万別です。

ソーシャルレンディングのデメリットを考える02

引用元:クラウドクレジット「ファンド情報」https://crowdcredit.jp/fund/

↑こちらは、ソーシャルレンディング大手「クラウドクレジット」のファンド例ですが、

  • 13カ月程度で満期償還を迎える予定のファンドもあれば、
  • 満期償還まで2年以上(25カ月)かかる、というファンドもあります。

十分な資金計画のもと、純粋な余剰資金のみを、投資にあてるように、注意しておかないと、思わぬトラブルへと結びつきかねませんので、留意が必要です。

不祥事も発生している。

本記事執筆本日現在、国内複数社のソーシャルレンディング事業者が、監督官庁から行政処分を受けるという、不祥事を起こしています。

みんなのクレジット

本記事執筆本日現在、国内複数社のソーシャルレンディング事業者が、監督官庁から行政処分を受けるという、不祥事を起こしています。

引用元:関東財務局「株式会社みんなのクレジットに対する行政処分について」http://kantou.mof.go.jp/kinyuu/pagekthp032000621.html

↑平成29年には、ソーシャルレンディング事業者「みんなのクレジット」が、業務停止命令を含む行政処分を受けました。

ラッキーバンク

本記事執筆本日現在、国内複数社のソーシャルレンディング事業者が、監督官庁から行政処分を受けるという、不祥事を起こしていますラッキーバンクの場合

引用元:関東財務局「ラッキーバンク・インベストメント株式会社に対する行政処分について」http://kantou.mof.go.jp/kinyuu/pagekthp032000711.html

↑平成30年3月には、比較的高めの利回りで投資家からの人気を集めていたソーシャルレンディング事業者「ラッキーバンク」が、行政処分を受けました。

本記事執筆本日現在に至るまでの間、その他複数のソーシャルレンディング事業者が、不適切な事業運営によって、監督官庁から行政処分を受けています。
このような不祥事の存在もまた、ソーシャルレンディングならではデメリットと言わざるを得ないでしょう。

延滞も発生している。

本記事執筆本日現在、複数のソーシャルレンディング事業者において、延滞が発生しています。

maneoの延滞状況

本記事執筆本日現在、複数のソーシャルレンディング事業者において、延滞が発生しています。

引用元:maneo「延滞債権/デフォルト債権一覧」https://www.maneo.jp/apl/fund/repayment/delayhistory

↑大手ソーシャルレンディン事業者「maneo」においては、上掲のとおり、多数のファンドにて、延滞が発生して仕舞っている状況です。

ガイアファンディングの延滞状況

本記事執筆本日現在、複数のソーシャルレンディング事業者において、延滞が発生しています。ガイアファンディングの場合。

引用元:ガイアファンディング「【延滞発生に関するご報告】 2018年11月19日運用終了予定案件および全ファンドの利息」https://www.gaiafunding.jp/apl/information/news?id=473

↑米国不動産関連案件への投資で有名だった、ガイアファンディングにおいては、2018年11月、全ファンドの利息支払いの延滞を発生し、投資家たちには大きなショックが広がりました。

ソーシャルレンディング事業者による行政上の不祥事のみならず、こうした実害(=延滞)も発生して仕舞っていることは、ソーシャルレンディング投資にあたって、十分な留意を要するデメリットとなります。

まとめ

本記事においては、ソーシャルレンディング投資のデメリットについて、解説を行いました。
また次回の記事を、楽しみにお待ちください。