高利回りには、わけがある。
投資家へと提示している期待利回りが高い、ということは、
その分、ソーシャルレンディング事業者から借り手企業へと貸し付けている金利も、高い、ということです。
ソーシャルレンディング事業者も、自らの営業者報酬が必要ですから、
わたしたち個人投資家へと還元される利回りに、数パーセント(1パーセント前後から、高い場合は5パーセント前後)が上乗せされた金利を、
借り手企業は、支払っているのです。
ソーシャルレンディングファンドの高い利回りは、借り手企業が支払っている高い金利の裏返しでもある、ということですね。
高利回りで借りる事業者=低い利回りで資金調達ができない事業者
私は本業で、一般企業の財務関係の仕事に関与することが多くあります。
そんな私が、ごく常識的と考えているのは、
資金調達コストが高い会社 = 対外信用能力が低い会社
ということです。
例えば、対外信用力が高い会社の場合、パッと社債を発行すれば、ほんの雀の涙ほどの金利で、多額の資金調達が可能です。
年利10パーセント前後もの高い金利を支払って、ソーシャルレンディング事業者(=ノンバンク)から資金調達をしなければいけない会社、となると、
私の個人的な考えとしては、あまり、対外信用力は、高くないのでは、と、思ってしまいます。
ソーシャルレンディング事業者からすれば、自分のお金を貸し出すわけではない。
ソーシャルレンディングファンドにおいて、ソーシャルレンディング事業者が自ら相乗りで融資するケースは、決して、多くありません。
ソーシャルレンディング事業者としては、
借り手企業に対して資金を貸し付けることで、営業者報酬をゲットできます。
しかし、貸し付ける資金の原資は、
投資家からのファンドへの匿名組合出資金であり、
ソーシャルレンディング事業者がこれまで稼いできた資金、などでは、ありません。
ソーシャルレンディング事業者を、貸金業事業者、としてシンプルに考えると、
・自分で貸付金をすべて工面して、それを貸し付けて、金利を得るのが、いいか、
・手取りの金利は多少安くなってもいいから、資金を投資家から募る形にして、第三者に貸しつけ、自分はあくまでも、営業者報酬を狙うのが、得策か、
ということを考えているわけです。
ものすごく、うがった見方をしてしまえば、
借り入れを希望する企業が、ソーシャルレンディング事業者のところに、相談にいった場合、
内容によっては、ソーシャルレンディング事業者が、
「わざわざファンドを組成せず、当社が自費で融資しますよ」
というケースだって、あるのではないでしょうか。
そして、それに該当しないような案件を、
ソーシャルレンディングファンドとして、組成している、という見方も、出来なくは、ないのではないでしょうか。
とにかく、高利回りばかりを売りにするソーシャルレンディング事業者については、要注意だと、私は個人的に、思います。