ソーシャルレンディングと不動産担保

不動産担保付きのソーシャルレンディングファンドは結構多い

様々なソーシャルレンディング事業者の、いろんなファンドを見ていると、
不動産担保付きのファンドって、結構多いんだな、という点に、気づくと思います。
大手といわれるmaneo(マネオ)の場合も、不動産担保付きのファンドが結構ありますし、
SBIソーシャルレンディングの場合も、常時募集型ファンドは、不動産担保付きの貸付債権(資金の借り手事業者の所有する、債権)に、質権設定をするものです。
マザーズ上場企業である、ロードスターキャピタル株式会社が運営する、オーナーズブックの場合に至っては、
全てのソーシャルレンディングファンドに、日本国内の不動産が、担保として設定されています。

不動産担保付きだからといって、安心は禁物。

無担保・無保証型ファンドと比べて、安心感を持ちがちな、不動産担保付きのソーシャルレンディングファンド。
勿論、無担保・無保証型ファンドと単純に比較すれば、
いざ、借り手企業からソーシャルレンディング事業者への元利金返済が遅延し、ソーシャルレンディング事業者が、債権回収に乗り出す時、
不動産担保が設定されていれば、ソーシャルレンディング事業者として、担保権を行使することが出来るわけですから、
担保が設定されているのであれば、それはそれで、邪魔になることではありません。
ただし、「不動産担保がついているから、安心だ!」とまで過信してしまうことは、禁物です。

不動産担保付きのソーシャルレンディングファンドに出資検討する際の注意点

実際に不動産担保付きのソーシャルレンディングファンドへと出資する場合、
ファンド概要を読み込むにあたって、いくつか、気を付けなければならない点があります。

特に、不動産担保付きのソーシャルレンディングファンドの場合、無担保・無保証型ファンドと比べれ、利回りが低めに設定されているケースが多いです。
ソーシャルレンディング事業者からすれば、「リスクが小さい分、利回りも小さくて当然」という理屈だと思うのですが、
担保内容等について、きちんと読み込みをしないと、
・利回りは、(不動産担保付きということで)低めになってるが、
・保全効能は、特段、高まっていない、
すなわち、リスクプレミアムが利回りとして還元されていない、”お得ではない”ファンドへと出資することになる場合もありますから、注意しましょう。

抵当権の順位

ソーシャルレンディングファンドが、借り手企業所有の不動産に、抵当権を設定する場合、
・第一順位抵当権の場合と、
・それ以下(例えば、第二順位以降の抵当権)、
という、2パターンがありますから、注意します。
担保物が本当にしっかりとした価値を有している場合、シニアローンの債権額を見て、十分に安全、と思えば、メザニンローン案件への出資も、現実的に、検討可能だとは、思いますが、
そのようなケースはまれだと、私は思っています。
シニアローン案件(第一順位抵当権案件)だけに絞っても、不動産担保付きのソーシャルレンディングファンドは、複数、ありますから、
とりあえずは「シニアローン案件一択」でよいのではないか、と、私は個人的に、思います。

LTV

俗にいう、掛け目、というものですね。
銀行の場合は、7割、といわれています。
ソーシャルレンディング事業者によっては、時折、このLTVが、計算上、9割、等と言う高い数値になっているソーシャルレンディングファンドがありますから、注意が必要です。
担保権が設定されている不動産が、「いざ」債権回収シーン、というときに、評価額通りで市場で売却できる見込みは、決して、高くないのです。
だから、銀行も、担保評価の7割くらいまでしか、貸さないのです。
ディスカウントの必要性をあらかじめ認識しているからですね。

評価額の妥当性

特に、担保物の評価額算出を、ソーシャルレンディング事業者が自ら行っている場合は、最大限の注意が必要です。
基本的に、ソーシャルレンディング事業者の報酬(営業者報酬、というものです)は、
貸付総額と比例して、大きくなります。
ということは、同じ担保物でも、出来るだけ多く貸し付けができたほうが、
ソーシャルレンディング事業者としては、儲かるわけです。
良質なソーシャルレンディング事業者は、無茶をしないはずですが、
悪質なソーシャルレンディング事業者の場合、「それなら、担保物の評価額を、厳正な評価額と比べて、高く算出してしまえばいい」と考えることもあり得ます。

ソーシャルレンディング事業者が公開しているファンド概要をよく読み込んで、
掲載されている担保物の評価額について、自分自身が納得できるか、しっかりと考えてみることが必要だと、私は思います。