ソーシャルレンディングと手数料

ソーシャルレンディングの手数料1:投資口座の開設手数料

ソーシャルレンディング投資をスタートするにあたっては、まずは、好きなソーシャルレンディング事業者に、投資口座を開設する必要があります。
投資口座の開設手続きは、どのソーシャルレンディング事業者の場合も、概ね、オンラインで完結します。
また、ソーシャルレンディング事業者に投資口座を開設するとき、投資家が「手数料」を支払う、というケースは、
少なくとも、私が知る限りでは、ありません。
基本的には、無料で投資口座の開設が行える、と考えてOKです。

ソーシャルレンディングの手数料2:出資申込時の手数料

ソーシャルレンディング事業者に投資口座を開設できたら、
次は、実際に出資を行うファンドを選びます。
気に入ったファンドが見つかれば、そのファンドに対して、出資申込を行います。
出資申込は、イメージ的に、例えばリート商品であれば、投資証券の購入にあたり、「売買手数料を支払う必要があるのでは?」と思う方も、いらっしゃるかもしれません。
しかし、少なくとも、ソーシャルレンディング投資においては、
出資申込の際に、ソーシャルレンディング事業者に対して、売買手数料や、買い付け手数料のようなものを支払う必要は、ありません。

ソーシャルレンディングの手数料3:出資金送金時の振込手数料

ソーシャルレンディング事業者のファンドに出資申込を済ませたら(※1)、そのソーシャルレンディング事業者が指定する銀行口座に、出資する金額を振込送金する必要があります。
この際の銀行振り込み手数料は、投資家の負担となります。
実際にかかる金額は、銀行によって異なりますが、数百円程度、というケースがほとんどです。

なお、ソーシャルレンディング事業者が指定する銀行口座と同じ銀行に口座を持っており、かつ、ネットバンキングを利用して振込を行う場合等は、
振り込み手数料が、結局、無料となるケースも、多くあります。

(※1)預託金制度(デポジット口座制度)を採用しているソーシャルレンディング事業者の場合、出資申込の前に、出資金をあらかじめ送金しておく必要があります。

ソーシャルレンディングの手数料4:運用の手数料

ファンドの運用期間において、ソーシャルレンディング事業者は、自身の「営業者報酬」を徴収しています。
営業者報酬の料率は、ソーシャルレンディング事業者によって、様々ですが、
だいたい、1パーセント台から、高くて5パーセント前後、というケースが多いようです。

ただし、ソーシャルレンディング事業者の徴収する、営業者報酬は、
投資家向けに提示されている期待利回りから、控除されるものでは、ありません。
投資家向けに提示されている期待利回りに、ソーシャルレンディング事業者の営業者報酬料率が加算された金利で、借り手企業が、資金を借りている、という構成です。

ソーシャルレンディングの手数料5:分配手数料

ファンドからの分配金は、
・預託金制度採用業者ならば、ソーシャルレンディング事業者内のデポジット口座に、
・預託金制度非採用業者ならば、投資家の個人の銀行口座に、送金されます。

前者の場合、デポジット口座内の資金を、投資家の個人銀行口座へと引き出したい場合、払い戻し手数料がかかることが一般的です。
払い戻し手数料は、ソーシャルレンディング事業者によってケースバイケースですが、数百円程度の設定となっているケースが多いです。

なお、後者の場合(=預託金制度非採用業者の場合)、分配金を投資家個人の銀行口座へと送金する際の振り込み手数料は、ソーシャルレンディング事業者が負担してくれているケースが多くみられます。

ソーシャルレンディングから資金を借りたい時の注意事項

ソーシャルレンディング事業者からの資金調達のメリット

ソーシャルレンディング事業者から資金調達するメリットは、いくつかあります。

柔軟かつスピーディーな審査を期待できる

従来型の金融機関(銀行等)と比べて、ソーシャルレンディング事業者の場合、あくまでも、ノンバンク(預金業務は行わない、貸金業者)ですから、比較的、審査の柔軟性やスピードに、期待が持てます。
掛け目についても、一般の銀行であれば「貸付は、担保評価額の、7割まで」などと言ってくることが多い中、
ソーシャルレンディング事業者の場合は、8割前後から、場合によっては、9割前後の掛け目まで、見てくれることがあります。

元本は一括返済OK

ソーシャルレンディング事業者の多くが、借入金元本の返済については、
期中の分割返済ではなく、満期の、一括返済でOK,としています。
借り入れ期間中の元本分割返済義務が無ければ、借り手企業としては、借り入れ期間中のキャッシュフローに、かなりの余裕が出来ることとなるため、
この点もまた、借り手企業にとっては、ソーシャルレンディング事業者から資金調達をする、メリットの一つとなり得るでしょう。

無担保・無保証でも、貸してくれるケースがある。

銀行等金融機関の場合、借入に際しては、担保の提供を求められるケースが多くありますが、
ソーシャルレンディング事業者の場合、たとえ、無担保・無保証であっても、相談に応じてくれるケースがあります。
実際に、投資家の立場から、ソーシャルレンディング事業者のファンドを読み込んでいると、
「無担保・無保証型」のファンドというのは、決して少なくありません。
ただし、後述も致しますが、無担保・無保証の状態で、ソーシャルレンディング事業者から融資を受ける場合、
その金利は、なかなかの高利となることを、覚悟しておく必要があるでしょう。

個人事業主でも貸してくれるケースがある。

一般の銀行の場合、個人事業主への融資には、消極的なところも少なくありません。
ソーシャルレンディング事業者の場合でも、貸付先のほとんどは、法人(企業)であることが多いですが、
中には、個人事業主への融資を行っているソーシャルレンディング事業者も、存在します。
そうしたソーシャルレンディング事業者とうまく交渉していけば、
個人事業主でも、借り入れを行うことが可能となる場合があります。

ソーシャルレンディング事業者からの資金調達は、高くつく。

ソーシャルレンディング事業者からの資金調達の、最大のデメリットは、その調達金利の高さです。
まず、投資家の立場から、ソーシャルレンディングファンドを眺める場合、
・比較的しっかりとした不動産担保がついているファンドの場合で、年利5パーセント前後。
・無担保・無保証型ファンドの場合で、年利10パーセント前後の利回りを提示しているケースが、ほとんどです。

ただし、上記は、あくまでも、投資家向けの、期待利回りです。
すなわち、上記の利回りに、さらに、ソーシャルレンディング事業者の営業者報酬利率が加算されたものが、
ソーシャルレンディング事業者から借り手企業への、貸付金利となります。
安くても、年利7パーセント前後、高い場合は、10パーセントを大きく超える利率が、呈示される場合があります。

ソーシャルレンディング事業者からの資金調達を検討する場合、この点に、重々、気を付ける必要があると、思います。

ソーシャルレンディング やばい業者の見分け方

まず、行政処分を受けているところは、避けて通ったほうが無難では。

本記事執筆本日現在に至るまでの間に、日本国内では、複数のソーシャルレンディング事業者が、行政処分を受けています。
メジャーなところでは、
・ラッキーバンク
・maneo
・トラストレンディング
といった事業者が、近年、監督官庁からの行政処分を受けています。
このうち、ラッキーバンクについては、行政処分以降、ファンドの新規組成は行われていませんし、トラストレンディングに至っては、2度目の行政処分で、登録取り消し処分となってしまいました。
いずれにせよ、行政処分を受けたことのあるソーシャルレンディング事業者については、ある程度、慎重に検討した方がいいのでは、と、個人的には、思います。

ファンドの延滞が多発しているソーシャルレンディング事業者についても、「やばい」と判断すべきでは。

現在、国内の複数のソーシャルレンディング事業者において、ファンドの延滞が発生しています。
中には、信じられないほど多量のファンドで、延滞が発生して仕舞っているソーシャルレンディング事業者も、存在します。
各ソーシャルレンディング事業者の、ファンドの運行状況を、よく確認して、
ファンドに延滞が(特に多量に)発生しているソーシャルレンディング事業者については、「やばい」と判断し、敬遠したほうがいいのでは、と、個人的には、思います。

担保物不動産の評価を、第三者に関与させず、全部自分でやっているソーシャルレンディング事業者は、やばいのでは。

ソーシャルレンディングファンドへの出資是非検討にあたって、
ファンドが担保権を設定する、不動産の、担保評価の「額」は、極めて大切な要素です。
貸付総額に対して、担保物不動産の評価額が大きければ、
「万が一、借り手からの元利金返済が遅延しても、ソーシャルレンディング事業者としては、比較的容易に、債権回収が出来るのでは」と期待することが(論理的には)可能でしょうし、
逆に、貸付総額に対して、担保物不動産の評価額が小さければ、
「いざ、債権回収、というシーンを考えると、この担保設定だけでは、不安だな…」
と、慎重な判断をすることが、出来るはずです。
このように、担保権が設定される不動産の評価額は、
当該ファンドへの出資是非の検討にあたって、とても大切な要素なのですが、
その担保評価額算定を、ソーシャルレンディング事業者が、自ら、独占的に(=外部の不動産鑑定士等を関与させずに)行っている場合、
「やばい」と警戒したほうが、良いと思います。

ソーシャルレンディング初心者に送る注意点

ソーシャルレンディングに、元本保証はありません。

高利回りが特徴のソーシャルレンディング。
「利回り」という言葉のせいなのか、どうか、わかりませんが、
「預金よりも利回りが遥かに高い」
として、
「定期預金よりも、ソーシャルレンディング」
という言説も、散見されます。
しかし、定期預金のような預金商品と、ソーシャルレンディングとの間では、大きな相違点があります。
それが、元本保証です。
預金等の場合、1金融機関1名義あたり1,000万円までの預金が、保護されます。
銀行が破綻したとしても、1,000万円までは、無事に預金者のもとへと戻ってくる、ということです。

しかし、ソーシャルレンディング投資の場合、そのような元本保証は、存在しません。
不動産担保がついたソーシャルレンディングファンドであろうが、
上場企業が債務保証をしてくれるファンドであろうが、
元本が棄損してしまうリスクは、厳然と、存在します。

ソーシャルレンディング投資については、時折、
「ローリスク・ミドルリターン」との形容も、されていることを、見受けますが、
私は個人的に、決して、ソーシャルレンディング投資は、「ローリスク」とは、思えません。
ミドルリスク、という程度が妥当であり、
一部の悪質なソーシャルレンディング事業者の存在も考慮に入れると、「ハイリスク」といっても、決して過言ではない、というのが、私の個人的な考えです。

実際に、延滞も発生しています。

「元本保証がない、といったって、延滞や遅延、そうそう起こるわけではないでしょ?」
いえいえ、そんなことはありません。
実際に、いくつかのソーシャルレンディング事業者において、多数のソーシャルレンディングファンドが、延滞、という状態にあります。
延滞の挙句に、最終的に返ってきた元本は、大幅に棄損されていた、というケースも、実際に、発生しています。
ファンドの延滞に巻き込まれるリスクは、もはや、決して、他人事ではないのです。

ソーシャルレンディング事業者への行政処分も複数発生しています。

本記事執筆本日現在に至るまでの間に、国内では、複数のソーシャルレンディング事業者が、監督官庁からの行政処分を受けています。
有名どころでは、2018年に、往時のソーシャルレンディング大手、maneoマーケット株式会社が、ファンドに虚偽表示があった、として、行政処分を受けています。
さらに、2019年3月には、昨年、最初の行政処分を受けたばかりの、エーアイトラスト株式会社(ソーシャルレンディングサービス名:トラストレンディング)が、2度目の行政処分を受け、登録取り消し処分という、極めて重い処分となった、という事件も、ありました。
投資家にとって困るのが、ソーシャルレンディング事業者が行政処分を受けると、そのソーシャルレンディング事業者において、ファンドの延滞が多発する点です。
理由としては、
ソーシャルレンディング事業者内のモラルハザード(=行政処分を受けてしまったし、もう、どうとでもなれ!といったような発想)がまず、挙げられると思いますが、
それ以外にも、
処分を受けたソーシャルレンディング事業者から資金を既に借りていた企業が、元利金返済にあたり、当該ソーシャルレンディング事業者に再度、借り換え用のファンド(=ソーシャルレンディングファンドをよく読み込んでいくと、借り換えファンドがとても多いことに気づくと思います)を組成してもらうことを、あてにしていたが、ソーシャルレンディング事業者が行政処分を受けてしまった関係で、そのあてが外れ、元金返済原資を確保できなくなった、という構図も、あるものと思われます。

くれぐれも、余裕資金で。

ソーシャルレンディング投資は、決して、リスクの小さい投資ではありません。
それでもなお、ソーシャルレンディング投資を始めてみよう、という方におかれましては、
必ず、少額の、余裕資金から。
決して、無理な投資は、しないようにしてください。

ソーシャルレンディングとは

ソーシャルレンディングの基本的な仕組みとは

まず、第二種金融商品取引業の登録事業者であるソーシャルレンディング事業者が、匿名組合(ファンド)を組成します。
そして、そのファンドの概要(期待利回りや、ファンドの事業内容)を、自社のホームページで公開します。
そうして公開されたファンド情報をみた、投資家が、そのファンドに、出資申込(=匿名組合出資申込)をします。

ソーシャルレンディング事業者は、第二種金融商品取引業事業者であると同時に、貸金業の登録事業者でもあります。
そこで、ソーシャルレンディング事業者は、投資家から集めた資金を、
別に第三者企業に対して、金銭消費貸借契約に基づき、融資します。

融資を受けた借り手企業は、ソーシャルレンディング事業者に対して、元利金の返済を行います。
そうして返済を受けた元利金を原資に、ソーシャルレンディング事業者は、投資家に対して、持ち分に応じた分配を行います。

これが、ソーシャルレンディングの基本的な仕組みです。

ソーシャルレンディングのメリットとは

まず、投資家としては、
定期預金等と比し、はるかに高い期待利回り(あくまでも、期待利回り)で、資金を投資することが出来ます。
また、ソーシャルレンディング事業者のほとんどが、1万円程度からの少額出資に対応していますから、
投資開始にあたり、まとまった資金が必要ない、という点も、ソーシャルレンディング投資のメリットのひとつです。

ソーシャルレンディング事業者から資金を借りる、借り手企業としては、
従来型金融機関である、銀行等と比べると、
かなり柔軟、かつスピーディーな審査を期待できる、として、
ソーシャルレンディング事業者からの資金調達に、メリットを感じている、という構成となります。

ソーシャルレンディング事業者として、ソーシャルレンディングサービスを運営する事業者としては、
自身の資金を焦げ付きリスクにさらすことなく、多額の貸金業務を行うことが出来、
自己資金を保全したままで、営業者報酬を手にすることが出来ます。

ソーシャルレンディングのデメリットとは

投資家サイドから見た、ソーシャルレンディング投資の、最大のデメリットは、
貸金業法の規制の関係で、
ソーシャルレンディング事業者から資金を借り受ける、借り手企業に関する情報が、匿名化されてしまっている点です。
借り手企業情報が匿名化されている関係で、
ソーシャルレンディング事業者が担保権を設定する不動産の、具体的な情報(例えば、地番情報等)も、投資家に対しては、非開示、とされています。
このため、投資家としては、
投資是非の判断にあたり、本来であれば必要となる、様々な情報に、
直接的な接触が、出来ない状態となっているです。

ソーシャルレンディングで配当生活は実現できるか

まず、1カ月の生活に必要な分配金の金額は…

これは、世帯構成によって、全く異なりますよね。
とりあえず、単身世帯だとして、
ある程度きり詰めた生活をする、と仮定すれば、
1カ月20万円あれば、なんとかなるでしょうか。
すると、1年間で240万円。
税金や、多少のイレギュラーを考慮し、
年間で300万円の配当所得があれば、
一応、配当生活が出来るのではなかろうか、と、仮定してみることにしましょう。

とりあえず、運用利回りはいくらと仮定?

ソーシャルレンディングの場合、定期預金などと比べれば、はるかに高い利回りを狙うことが、論理的には、可能です。
いろんなソーシャルレンディング事業者のファンドを見渡していると、
利回り(年利)10パーセント、等というファンドも、多数、ありますね。
しかし、だからといって、
ソーシャルレンディング投資をメインとする配当生活において、
配当利回りを、10パーセントで仮定し計算する、というのは、あまりにも、リスキーです。
投資家還元利回りが高いファンドは、その分、保全効能が今一つ、というファンドが多く、
投資家にとってのリスクが大きいファンドが、少なくありません。
実際に、不動産担保がついていて、ある程度、保全効能に期待できるであろうと考えうるファンドの場合、
期待年利は、だいたい、5パーセント前後のケースが多いです。
すなわち、本記事においても、配当利回りについては、5パーセント、として仮定・計算することにしたいと思います。

それだけの分配金を定期的に収受するために必要な、元本は…

年間300万円の配当所得を、配当利回り5パーセントで確保していくためには、6,000万円の投資元本が必要となります。
なかなかの大金とはなりますが、
なんとか、6,000万円を貯金することが出来れば、
配当利回り5パーセントで、ソーシャルレンディングによって、配当生活を送ることも、
計算上は、不可能とは言えないのではないか、と、いうことです。

ただし、リスクがある。

ソーシャルレンディング投資の場合、事業者が万が一、行政処分を受ける等すると、一気に、延滞ファンドが多発してくる傾向があります。
延滞の挙句に、大幅な元本棄損、というケースも、これまで、実際に発生していますから、
配当生活原資の全てを、ソーシャルレンディング投資に回してしまうことは、
いささか、リスクが高すぎる、とも言えます。
このあたりは、慎重な判断が必要となってくるでしょう。

ソーシャルレンディング始めるのならどこがいい?

初心者は、まずはSBIソーシャルレンディングから。

とりあえずは、SBIソーシャルレンディングから始めるのが、妥当ではないかと思います。
常時募集型ファンドがあるので、ほかのソーシャルレンディング事業者のように、
「ファンドの募集開始日時にあわせて、パソコン前で待機!」
といったプロセスは必要ないですし…。
1万円から出資できますから、
まずは小さな金額から、勉強がてら…という方にも、お勧めしやすいと思います。
なお、ソーシャルレンディング業界では、超大手といえる、SBIソーシャルレンディングではありますが、
各ファンドにはそれぞれ、リスクがあります。
大手だから安心・ノーリスク、というわけでは、決してありません。
実際、SBIソーシャルレンディングといえども、一部のファンドでは、過去、延滞が発生したこともあります。
くれぐれも、注意してください。

なれて来たら、オーナーズブックも。

東証マザーズ上場企業、ロードスターキャピタル株式会社が運営する、ソーシャルレンディングサービス、オーナーズブックも、
ソーシャルレンディング投資業界の中では、人気が高い事業者です。
全てのソーシャルレンディングファンドに、不動産担保がついていますから、
その点においても、(少なくとも、無担保・無保証型ファンドと比べれば)安心感があるといえると思います。
ただし、SBIソーシャルレンディングの場合、ある意味、投資家からの人気が高すぎて、
ファンド公開のたびに、「クリック合戦」が勃発します。
ものの数分で資金が埋まってしまう、というケースも、オーナーズブックの場合、ざらですので、
「いつでも気軽に出資したい」と考えている投資家には、いささか、不向きかもしれません…。

ちょっと冒険したくなってきたら、クラウドクレジットも。

伊藤忠商事や第一生命等、日本を代表するトップ企業が出資していることで知られるのが、クラウドクレジット。
同社の場合、日本国内向けのローンファンドは組成されておらず、
全てのファンドが、国外向け、となっています。
上限金利規制もない国に対する投資案件もありますから、
その分、前掲のSBIソーシャルレンディングや、オーナーズブックの場合と比べて、
ファンドの期待利回りが高い、というメリットがあります。
各シリーズごとの満期償還実績は、同社ホームページで公開されていますから、
それをよく確認し、
「あ、このファンドシリーズなら、出資してもよさそうだな」
と思えるファンドに限って、出資をするのがいいと思います。
なお、クラウドクレジットのファンドの場合、原則として、無担保・無保証型ファンドとなっています。
この点には、くれぐれも、注意してください。

ソーシャルレンディング 案件選びの時の注意点

高利回り案件には慎重に。

高利回りには、わけがあります。
まず第一に認識しておく必要があるのが、
わたしたち個人投資家に対して提示されている、期待利回りに、
ソーシャルレンディング事業者の、営業者報酬が加算された、利率を、
借り手企業は、利息として、支払っているのです。
ファンドによっては、年利換算で10パーセント以上となるケースも、あるでしょう。
これだけ低利で資金調達が可能な、日本という国において、
それだけの高率で資金調達をしなければならない会社というのは、
そもそも、資金の融資先として、どうなのか。
そのような会社に対して資金融資をするファンドは、大丈夫なのか。
ちゃんと資金は返ってくるのか。

特に、高利回りファンドの場合、
不動産担保などが設定されない、
無担保・無保証型ファンドがほとんどでしょう。

そのようなファンドに対して出資して、本当に大丈夫か、
慎重に、検討する必要があるのではないでしょうか。

このあたりの点については、下記の別記事にて詳説しておりますので、
ぜひ、ご覧になってみてください。

高利回りソーシャルレンディング事業者の注意点

不動産担保付だからといって、過信は禁物。

無担保・無保証型ファンドと比べて、つい、「安心・安全」と勘違いしてしまいがちなのが、不動産担保付のソーシャルレンディングファンドの怖いところ。
不動産担保付ならば無条件で安全性が高い、というわけでは、決して、ありません。
むしろ、形ばかりの不動産担保付が設定されているだけで、
別に、保全効能が高まっているわけでもない、
それにも関わらず、利回りは、その他一般的な不動産担保付ソーシャルレンディングファンドなみに抑えられている、という、
「本来は期待できるはずのリスクプレミアム分、損をしてしまっている」
というファンドも、少なくないのです。

だから、不動産担保付のソーシャルレンディングファンドの場合、むしろ、無担保・無保証型ファンドよりもなお、
その不動産担保の内容が、本当に、保全効能強化に資するものなのか、どうか、
わたしたち個人投資家として、出来る限り、精査をする必要があるのです。
このあたりの詳細については、下記の別記事にまとめましたので、
お時間ございましたら、
ぜひ、ご覧下さい。

ソーシャルレンディングと不動産担保

結局のところ、ファンド選びよりも、事業者選び。

ファンドの内容をどれだけ精査したとしても、
そのファンド概要の記載内容が、そもそも、嘘八百、であれば、無意味となります。
ですから、ソーシャルレンディング投資の場合、どうしても、

・ファンド選びよりも、
・ソーシャルレンディング事業者選びのほうが、先決であり、重要となります。

よければ、こちらの過去記事もご覧ください。

ソーシャルレンディングおすすめ事業者ランキング

高利回りソーシャルレンディング事業者の注意点

高利回りには、わけがある。

投資家へと提示している期待利回りが高い、ということは、
その分、ソーシャルレンディング事業者から借り手企業へと貸し付けている金利も、高い、ということです。
ソーシャルレンディング事業者も、自らの営業者報酬が必要ですから、
わたしたち個人投資家へと還元される利回りに、数パーセント(1パーセント前後から、高い場合は5パーセント前後)が上乗せされた金利を、
借り手企業は、支払っているのです。
ソーシャルレンディングファンドの高い利回りは、借り手企業が支払っている高い金利の裏返しでもある、ということですね。

高利回りで借りる事業者=低い利回りで資金調達ができない事業者

私は本業で、一般企業の財務関係の仕事に関与することが多くあります。
そんな私が、ごく常識的と考えているのは、
資金調達コストが高い会社 = 対外信用能力が低い会社
ということです。
例えば、対外信用力が高い会社の場合、パッと社債を発行すれば、ほんの雀の涙ほどの金利で、多額の資金調達が可能です。
年利10パーセント前後もの高い金利を支払って、ソーシャルレンディング事業者(=ノンバンク)から資金調達をしなければいけない会社、となると、
私の個人的な考えとしては、あまり、対外信用力は、高くないのでは、と、思ってしまいます。

ソーシャルレンディング事業者からすれば、自分のお金を貸し出すわけではない。

ソーシャルレンディングファンドにおいて、ソーシャルレンディング事業者が自ら相乗りで融資するケースは、決して、多くありません。
ソーシャルレンディング事業者としては、
借り手企業に対して資金を貸し付けることで、営業者報酬をゲットできます。
しかし、貸し付ける資金の原資は、
投資家からのファンドへの匿名組合出資金であり、
ソーシャルレンディング事業者がこれまで稼いできた資金、などでは、ありません。
ソーシャルレンディング事業者を、貸金業事業者、としてシンプルに考えると、

・自分で貸付金をすべて工面して、それを貸し付けて、金利を得るのが、いいか、
・手取りの金利は多少安くなってもいいから、資金を投資家から募る形にして、第三者に貸しつけ、自分はあくまでも、営業者報酬を狙うのが、得策か、

ということを考えているわけです。

ものすごく、うがった見方をしてしまえば、
借り入れを希望する企業が、ソーシャルレンディング事業者のところに、相談にいった場合、
内容によっては、ソーシャルレンディング事業者が、
「わざわざファンドを組成せず、当社が自費で融資しますよ」
というケースだって、あるのではないでしょうか。
そして、それに該当しないような案件を、
ソーシャルレンディングファンドとして、組成している、という見方も、出来なくは、ないのではないでしょうか。

とにかく、高利回りばかりを売りにするソーシャルレンディング事業者については、要注意だと、私は個人的に、思います。

安全性重視のソーシャルレンディング投資を考える。

あまりにも多数のソーシャルレンディング事業者に資金を分散するのは、却って、危ない。

ソーシャルレンディング投資に関して情報収集していると、
「多数のソーシャルレンディング事業者に、資金を分散投資することが大切」といった表現を、よく見かけると思います。
確かに、投資全般において、分散は大切、といわれます。
しかし、少なくとも現在の日本のソーシャルレンディング業界においては、
「分散のやりすぎ」もまた、危険なのではないか、と、個人的に、思うのです。
分散すればするだけ、
危険なソーシャルレンディング事業者、
要は、本来的には、あまりお付き合いするべきではないソーシャルレンディング事業者にも、結局、当たってしまうことになり得るから、です。

個人的には、3社~5社くらいの分散が限度だろう、と思います。
※逆に言えば、今の日本のソーシャルレンディング業界においては、
信頼できるソーシャルレンディング事業者は、そのくらいしか、無い、とも、思っているわけですが…。

とにかく、安全性重視でソーシャルレンディング投資を行いたいのであれば、
ソーシャルレンディング事業者の分散は、
・多少は、アリだけれども、
・やり過ぎは禁物、
だと、私は個人的に、思います。

シリーズものとして実績のあるファンドにだけ、出資する。

たとえば、SBIソーシャルレンディングの、常時募集型ファンドである、「不動産担保ローン事業者ファンド」。
実績は同社ホームページで公開されていますが、
個人的には、ファンドシリーズとして、強いなー、と、感じます。
こういう実績のあるファンドに絞って出資をしたいと、個人的には、思うのです。

※勿論、どれだけ実績のあるシリーズファンドでも、急に、大こけ、というリスクは、あるわけですが…。

不動産担保付だからといって、過信しない。

無担保・無保証型ファンドと比べて「不動産担保つき」と表現されてると、
ついつい、「あ、それなら、安心なファンドなんだな!」と、思ってしまいがちですよね。
私は個人的に、これは、かなり危ない、と思っています。
勿論、担保は、あるに越したことはありません。
というより、無担保・無保証型ファンドと比べれば、確かに、不動産担保のファンドのほうが、安心感はあります。その点は、私も否定しません。
ただし、「不動産担保付きだから、安心・安全」と思ってしまうのは、かえって、危ない、と、そのように考えています。
このあたりの詳細は、下記の別記事にて記載させて頂きましたので、
もしもお時間があれば、ご覧になって頂けると嬉しいです。

ソーシャルレンディングと不動産担保