ソーシャルレンディングと不動産担保

不動産担保付きのソーシャルレンディングファンドは結構多い

様々なソーシャルレンディング事業者の、いろんなファンドを見ていると、
不動産担保付きのファンドって、結構多いんだな、という点に、気づくと思います。
大手といわれるmaneo(マネオ)の場合も、不動産担保付きのファンドが結構ありますし、
SBIソーシャルレンディングの場合も、常時募集型ファンドは、不動産担保付きの貸付債権(資金の借り手事業者の所有する、債権)に、質権設定をするものです。
マザーズ上場企業である、ロードスターキャピタル株式会社が運営する、オーナーズブックの場合に至っては、
全てのソーシャルレンディングファンドに、日本国内の不動産が、担保として設定されています。

不動産担保付きだからといって、安心は禁物。

無担保・無保証型ファンドと比べて、安心感を持ちがちな、不動産担保付きのソーシャルレンディングファンド。
勿論、無担保・無保証型ファンドと単純に比較すれば、
いざ、借り手企業からソーシャルレンディング事業者への元利金返済が遅延し、ソーシャルレンディング事業者が、債権回収に乗り出す時、
不動産担保が設定されていれば、ソーシャルレンディング事業者として、担保権を行使することが出来るわけですから、
担保が設定されているのであれば、それはそれで、邪魔になることではありません。
ただし、「不動産担保がついているから、安心だ!」とまで過信してしまうことは、禁物です。

不動産担保付きのソーシャルレンディングファンドに出資検討する際の注意点

実際に不動産担保付きのソーシャルレンディングファンドへと出資する場合、
ファンド概要を読み込むにあたって、いくつか、気を付けなければならない点があります。

特に、不動産担保付きのソーシャルレンディングファンドの場合、無担保・無保証型ファンドと比べれ、利回りが低めに設定されているケースが多いです。
ソーシャルレンディング事業者からすれば、「リスクが小さい分、利回りも小さくて当然」という理屈だと思うのですが、
担保内容等について、きちんと読み込みをしないと、
・利回りは、(不動産担保付きということで)低めになってるが、
・保全効能は、特段、高まっていない、
すなわち、リスクプレミアムが利回りとして還元されていない、”お得ではない”ファンドへと出資することになる場合もありますから、注意しましょう。

抵当権の順位

ソーシャルレンディングファンドが、借り手企業所有の不動産に、抵当権を設定する場合、
・第一順位抵当権の場合と、
・それ以下(例えば、第二順位以降の抵当権)、
という、2パターンがありますから、注意します。
担保物が本当にしっかりとした価値を有している場合、シニアローンの債権額を見て、十分に安全、と思えば、メザニンローン案件への出資も、現実的に、検討可能だとは、思いますが、
そのようなケースはまれだと、私は思っています。
シニアローン案件(第一順位抵当権案件)だけに絞っても、不動産担保付きのソーシャルレンディングファンドは、複数、ありますから、
とりあえずは「シニアローン案件一択」でよいのではないか、と、私は個人的に、思います。

LTV

俗にいう、掛け目、というものですね。
銀行の場合は、7割、といわれています。
ソーシャルレンディング事業者によっては、時折、このLTVが、計算上、9割、等と言う高い数値になっているソーシャルレンディングファンドがありますから、注意が必要です。
担保権が設定されている不動産が、「いざ」債権回収シーン、というときに、評価額通りで市場で売却できる見込みは、決して、高くないのです。
だから、銀行も、担保評価の7割くらいまでしか、貸さないのです。
ディスカウントの必要性をあらかじめ認識しているからですね。

評価額の妥当性

特に、担保物の評価額算出を、ソーシャルレンディング事業者が自ら行っている場合は、最大限の注意が必要です。
基本的に、ソーシャルレンディング事業者の報酬(営業者報酬、というものです)は、
貸付総額と比例して、大きくなります。
ということは、同じ担保物でも、出来るだけ多く貸し付けができたほうが、
ソーシャルレンディング事業者としては、儲かるわけです。
良質なソーシャルレンディング事業者は、無茶をしないはずですが、
悪質なソーシャルレンディング事業者の場合、「それなら、担保物の評価額を、厳正な評価額と比べて、高く算出してしまえばいい」と考えることもあり得ます。

ソーシャルレンディング事業者が公開しているファンド概要をよく読み込んで、
掲載されている担保物の評価額について、自分自身が納得できるか、しっかりと考えてみることが必要だと、私は思います。

ソーシャルレンディングとリスク分散

ソーシャルレンディング事業者の分散

ソーシャルレンデイング投資におけるリスク分散を考える時、誰もが最初に思い浮かぶのが、
ソーシャルレンディング事業者の分散でしょう。
ソーシャルレンディングの場合、ソーシャルレンディング事業者に投資用口座を開設する手続きは、極めて簡単です。
どのソーシャルレンディング事業者の場合も、
手続きはインターネットで完結しますし、
投資口座の開設だけであれば、費用も一切かからないことが普通です。
ですから、リスク分散志向が強い人ほど、
どんどん、いろんなソーシャルレンディング事業者に、投資口座の開設を進める傾向があります。

しかし、忘れてはならないのが、
取引をするソーシャルレンディング事業者の数を増やせば、それだけ、
不適切な運営をしているソーシャルレンディング事業者に当たってしまう確率も、大きくなる、ということ。

私がおもうに、事業者分散によってソーシャルレンディング投資のリスクを分散したいのであれば、
あくまでも、信頼することのできる、3社~5社程度のソーシャルレンディング事業者に分散するに留め、
むやみやたらに、たくさんのソーシャルレンディング事業者(例:20社以上)に、資金を分散しすぎるのは、やめたほうが無難ではないか、と、思っています。

ソーシャルレンディングファンドの分散

事業者の分散の次に検討するのが、ファンドの分散でしょう。
ひとつのソーシャルレンディング事業者が、たくさんのファンドを組成しているのが、ソーシャルレンディングの特徴。
いずれのファンドも、だいたい、1万円前後から出資できるものが多いので、
複数のファンドに、資金を小口で分散する、という投資スタイルをとっている方も、少なくないでしょう。
そのこと自体は、私も、悪いことだとは思いませんが、
ファンドを分散するときに気を付けたいのが、
「ファンドの分散は、あくまでも、リスク軽減のための手段であって、
ファンドの分散が、目的となっては、ならない」
ということです。
どういうことか、というと、
ソーシャルレンディング事業者が同一でも、そのソーシャルレンディング事業者が提供しているファンドのリスクなどは、あくまでも、ファンドによって、千差万別です。
リスクヘッジのために、いろんなファンドに資金を分散していたつもりが、
いつの間にか、分散すること自体が目的となってしまい、
本来のリスク判断においては、決して出資すべきでは無かったようなファンド(例:無担保・無保証型ファンド)に、出資をしてしまう、というようでは、
本末転倒です。
この点には、十分な注意が必要です。

ソーシャルレンディング 危険事業者ランキング

第1位:トラストレンディング

その他のソーシャルレンディング事業者と比較しても、かなり高めの期待利回りを提示していて、かなり人気の高いソーシャルレンディング事業者だったのですが、
2018年12月に、最初の行政処分を受けて、
その後、2019年3月、早くも2回目の行政処分を受け、「登録取り消し処分」となったソーシャルレンディング事業者です。
投資家から募った資金を、取締役のひとりが、流用してしまっている状態だった、とのこと。
ソーシャルレンディング業界で、登録取り消し処分を受けたのは、
この「トラストレンディング」のケースが初めてだったので、
ソーシャルレンディング業界に、衝撃が広がりました。

第2位:みんなのクレジット

登録取り消し処分、というほどではないですが、
業務停止命令を受けたのが、こちらのソーシャルレンディング事業者。
投資家から出資してもらった資金を、
社長が、自分の個人的な借入金の返済原資にあてていたり、
「不動産担保つき」として投資家を勧誘しておきながら、
実際には、担保が設定されていなかったり、と、
かなり悪質な運営が行われていたようです。

第3位:ラッキーバンク

こちらも、行政処分を受けた事業者。
借り手企業のほとんどが、同社の社長の親族が経営する法人だった、ですとか、
「慎重に融資審査をしています」と投資家に対してアピールしておきながら、
実際は(※親族企業への融資ですから、当然といえば、当然ですが)かなり緩い審査しか行われていなかった、ですとか、
設定されていた不動産担保の評価額算出が、かなりあいまい・自分勝手なものだった、ですとか、
いろいろと、問題の多いソーシャルレンディング事業者だったようです。
不動産担保付き、という割には、高い利回りが設定されており、
投資家にも、かなり人気の高い事業者だったのですが…。

第4位:maneo

国内ソーシャルレンディング業界では、長らく「最大手」といわれる存在だった事業者。
その分、投資家からの信頼もあつかったのですが、
2018年、行政処分を受けることとなります。
きっかけは、グリーンインフラレンディングにおける、不適切な資金管理、及び、本来記載されていなかった目的への、投資資金使用でした。
maneoの場合、行政処分を受けてから、かなり多くのファンドで延滞が発生し、
もともと取扱件数の多いソーシャルレンディング事業者だっただけに、
たくさんの投資家に、多大な迷惑をかけることとなりました。

ソーシャルレンディングおすすめ事業者ランキング

ソーシャルレンディングおすすめ事業者ランキング1位

第1位は、SBIソーシャルレンディングです。
なんといっても、SBIグループの100%子会社、SBIソーシャルレンディング株式会社が運営するソーシャルレンディングサービスである、という点が大きいです。
2019年2月末の時点で、融資残高は319億円、登録完了済の投資家数は、3万人を超えています。

いつでも出資できる、常時募集型ファンドが用意されているのも、うれしいです。
ほかのソーシャルレンディング事業者のうち、人気の高い事業者は、
ファンドが公開されるたびに、「クリック合戦」が起きてしまっているような状態なので、
それと比べて、SBIソーシャルレンディングの常時募集ファンドの場合、
まさに文字通り、「いつでも」出資が出来ますから、
日中の仕事が忙しいサラリーマンでも、気軽に投資できます。

常時募集型ファンド(不動産担保ローン事業者ファンド)と、借り手は同じだが、
利回りだけ、少し高めに設定された、臨時組成ファンド、不動産担保ローン事業者ファンドplus、という商品シリーズもあり、人気を呼んでいます。

ソーシャルレンディングおすすめ事業者ランキング2位

第2位をあげるとすれば、ロードスターキャピタル株式会社が運営するソーシャルレンディングサービス、オーナーズブックがあげられます。
オーナーズブックの最大の魅力は、
組成・公開されている全てのファンドに、日本国内の不動産担保が設定されていること。
万が一、借り手事業者からオーナーズブックへの元利金返済に遅延が発生したとしても、
オーナーズブックとしては、淡々と、担保権に基づいて、債権回収を図ればいいのですから、
投資家としても、(少なくとも、無担保・無保証型ファンドと比べれば)安心しやすいだろうと、考えています。
前掲のSBIソーシャルレンディングと比べれば、まだまだ、規模が小さいソーシャルレンディングサービスとなりますが、
上場企業であるロードスターキャピタル株式会社が運営しているサービスですので、
まだこれから、伸びてくるのでは、と予想しています。

ソーシャルレンディングおすすめ事業者ランキング3位

第3位をあげるとすれば、クラウドクレジットをあげたいですね。
こちらは、国際分散型ソーシャルレンディングとして、全て、国外向けのファンド組成が為されています。
各ファンドの利回りも高い(※その代わり、原則として、無担保・無保証型)ですし、
伊藤忠商事や第一生命といった、
日本を代表する大企業から出資を受けている、という点も、
安心材料だと、個人的に考えています。

ソーシャルレンディングの勉強方法

ソーシャルレンディング投資を始める前に、ソーシャルレンディングについて、出来るだけ勉強をしてから、始めたいですよね。
ソーシャルレンディングの勉強方法としては、具体的には、どのような勉強方法があるでしょうか。
私の考えを述べてみます。

ソーシャルレンディングの勉強方法1【ブログ】

インターネット上には、ソーシャルレンディングの関連情報を取り上げたブログが、とてもたくさんあります。
できるだけこまめに、そうしたブログを閲覧して、情報収集をしてみるといいと思います。
特に、実際にソーシャルレンディング投資を行っている、先輩投資家のブログは、とても参考になります。
出資に値するファンドや、ソーシャルレンディング事業者の選び方など、詳しく解説してくれているブログも、たくさんあります。
そうしたブログを見ていると、逆に、
「そうか、このソーシャルレンディング事業者は、いま、危ないんだな」
といった情報も、把握できるので、助かります。
是非、いろいろなブログを見てみてください。

ソーシャルレンディングの勉強方法2【本】

昔はあまり無かったのですが、最近は、ソーシャルレンディングのことを専門的に取り上げた本も、随分増えてきました。
ソーシャルレンディング投資ブログを運用なさっていた方が、その後、ソーシャルレンディング投資関連の書籍を執筆なさる、というケースが多いようです。
実地の知識に基づいた書籍となっている関係で、
とても、役立つものも、少なくありません。
ブログの閲覧と違い、どうしても、お金がかかってしまいますが、
「これは!」と思った書籍があれば、是非、購入してみて、
内容を熟読してみると、いいのではないでしょうか。
きっと、新しい発見があるのでは、と、思います。

ソーシャルレンディングの勉強方法3【セミナー】

ソーシャルレンディング事業者が定期的に開催しているセミナーも、
ソーシャルレンディング投資に関する情報の収集に、適した場所のひとつといえます。
ソーシャルレンディング事業者の担当者に、直接、そのソーシャルレンディング事業者の考え方などについて、質問をぶつける、いい機会でもあります。
また、こうしたセミナーに参加していると、
同じように、ソーシャルレンディング投資を志している、別の投資家とも、出会うきっかけになります。
ひとりで勉強することも大切ですが、
同じようにソーシャルレンディングに取り組もうとしている仲間と、情報交換をすることによって、
より有意義な勉強も、できようというものです。

ソーシャルレンディング会社 信頼性ランキング

ソーシャルレンディング会社を、信頼性の大小でランキングすると…

投資である以上、会社の信頼性は、とても大切なポイントとなります。
ソーシャルレンディング会社各社を、「信頼性」の視座から、ランキングすると、
どのようなランキングとなるか、考えてみました。

ソーシャルレンディング会社信頼性ランキング第1位

私が思うに、第1位は、オーナーズブックでしょう。
なぜなら、オーナーズブックの運営会社である、ロードスターキャピタル株式会社は、東証マザーズの、上場企業であることが知られています。
上場企業なら、上場審査をクリアした会社であることが当然ですし、また、定期的に、外部の監査法人から、監査も受けているのです。
そうした会社が、短期的な視座から、行政処分を受けるような違反をおかすことは、あまり考えづらいため、
信頼性ランキングにおいても、高く評価できると思いました。

ソーシャルレンディング会社信頼性ランキング2位

ソーシャルレンディング会社を信頼性でランキングすると、その第2位は、私が思うに、SBIソーシャルレンディングだと思います。
言うまでも無く、SBIソーシャルレンディングの運営会社は、SBIグループの100パーセント子会社。
このため、会社としての信頼度が大きく、信頼性ランキングとしては、第1位にふさわしいと考えます。

ソーシャルレンディング会社信頼性ランキング第3位

わたしが思うに、ソーシャルレンディング会社信頼性ランキング第3位は、LCレンディングです。
LCレンディングの運営会社の親会社(100パーセント出資)は、ジャスダックの上場企業であることが知られています。
LCレンディングの運営会社自体は、非上場企業ではありますが、
その全株を所有している親会社が、上場企業であることは、
ソーシャルレンディング会社信頼性ランキングを考えるうえで、大切な要素だと、私は思います。

ソーシャルレンディング会社信頼性ランキング第4位

私が考える、ソーシャルレンディング信頼性ランキング第4位は、クラウドクレジットです。
クラウクレジットの運営会社自体は、未上場のベンチャー企業ですが、
同社には、伊藤忠商事や、第一生命など、
日本を代表する企業の数々が、出資をしていることが有名です。
この点がポジティブに働き、ソーシャルレンディング会社信頼性ランキングにおいては、上位入賞がふさわしい、と考えました。

まとめ

以上、私が考える、現時点での、国内ソーシャルレンディング業界の、会社信頼性ランキングでした。
あくまでも、私の個人的な見解ですが、
少しでも、参考にして頂ければ、うれしく思います。

それでは、また次回の記事で会いましょう。

ソーシャルレンディングで貸し倒れを防ぐには。

ソーシャルレンディングで貸し倒れを防ぐ方法には、どのようなものがあるでしょうか。

行政処分を受けそうなソーシャルレンディング事業者を避ける。

ファンドの延滞などのトラブルは、行政処分を受けた事業者に集中している傾向があります。
というのも、
ソーシャルレンディング事業者が行政処分を受けると、まず、そのソーシャルレンディング事業者の対外信用力が、大きく低下します。
すると、そのソーシャルレンディング事業者が、行政処分後に組成するファンドには、
必然的に、資金が集まりづらくなります。
その結果困るのが、そのソーシャルレンディング事業者からお金を借りていて、さらに、借り換え用のリファイナンスファンドを組成してもらうことを、元来、あてにしていた、既存の借り手事業者たちです。

そうした既存借り手たちとしては、ソーシャルレンディング事業者からのリファイナンスファンド資金が供給されなくなると、
即座に、元利金返済がショートするケースが多くあります。
こうして、延滞・貸し倒れが発生する、というメカニズムがあるのです。
行政処分を受けたソーシャルレンディング事業者において、ファンドの延滞・貸し倒れが起きやすい、ということには、
こういう理由があります。

無担保・無保証型ファンドを避ける。

せめて不動産などの担保がついたファンドであれば、
多少延滞が発生したとしても、
元金回収が奏功する可能性があります。
それに対して、無担保・無保証型ファンドの場合、
借り手事業者の資産状況によっては、
元本が大きく棄損するリスクがあり、
最悪のケースでは、全損、という可能性も否めません。

そもそもの時点で、無担保・無保証型ファンドについては、投資を差し控えるようにして置く事が賢明でしょう。

メザニンローン案件を避ける。

不動産担保のファンドの場合でも、
担保物に第一順位抵当権が設定される、シニアローン案件と違い、
メザニンローン案件の場合は、債権回収シーンにおいて、
第一順位抵当権者に対し、立場が劣後してしまいます。
シニアローン案件とメザニンローン案件の選択を行う場合、
安全性を重視したいのであれば、
メザニンローン案件は避けて、
シニアローン案件に特化するべきといえるでしょう。

高いLTVのファンドを避ける。

LTVは、「掛け目」とも呼ばれます。
同じ不動産に担保を設定する場合においても、
不動産の評価額に対して大き目の金額が貸し付けるファンドよりも、
評価額よりもかなり小さい金額しか貸し付けないファンドのほうが、
いざ、というときの債権回収がスムースである旨は、自然なことと言えます。

不動産担保物の評価額の妥当性が怪しいファンドは避ける。

担保物の評価額が不自然に高く計算・提示されているファンドの場合、注意が必要です。
そのほかに、不動産の評価額計上に、ソーシャルレンディング事業者以外の第三者が全く関与していない場合、
担保物の評価額が、ソーシャルレンディング事業者の「言い値」で算出されてしまっている可能性がありますので、
注意が必要です。

ソーシャルレンディングの預託金制度とは

預託金制度とは

投資家が、予め、投資資金を、ソーシャルレンディング事業者が定める預託金口座(デポジット口座)に預け入れしておくのが、預託金制度です。
本記事執筆本日現在、日本国内のソーシャルレンディング事業者の多くが、この預託金制度(デポジット制度)を採用しています。
現実問題として、預託金制度(デポジット制度)を採用していないソーシャルレンディング事業者は、少数派です。

預託金制度の採否で、ソーシャルレンディング投資の流れはどう違うか

預託金制度を採用しているソーシャルレンディング事業者の場合、
投資家は、まず、ソーシャルレンディング事業者の指定する預託金口座に対して、出資金をデポジット(預入)しておきます。
各個別ファンドに出資できるのは、
あくまでも、預託金口座の残高以下の数値です。
例えば、あるファンドに10万円、出資したい、と考えたとして、
その時に、預託金口座の残高が5万円であれば、
10万円の出資は出来ません。
あくまでも、5万円までしか、出資は出来ません。

これに対して、預託金制度(デポジット制度)を採用していない事業者の場合、
ソーシャルレンディング事業者に対して実際の出資金を振り込むのは、
当該ソーシャルレンディングのファンドへの、出資申込が完了してから、です。
ただし、出資申込完了後、ソーシャルレンディング事業者が定める期限までに、出資金を送金しない場合、
出資申込そのものが、キャンセル扱いとなる場合がありますから、注意が必要です。

預託金制度を採用している事業者/採用していない事業者

本記事執筆本日現在、国内の主要ソーシャルレンディング事業者のほとんどは、預託金制度(デポジット制度)を採用しています。
例えば、クラウドクレジットですとか、マネオですとか、オーナーズブックですとか、
そうした事業者は、預託金制度(デポジット制度)を採用しています。

これに対して、国内の主要ソーシャルレンディング事業者のうち、
預託金制度(デポジット制度)を採用していないのは、
SBIソーシャルレンディングくらいです。

SBIソーシャルレンディングは、主要ソーシャルレンディング事業者の中では珍しく、預託金制度(デポジット制度)を採用していません。
このため、SBIソーシャルレンディングの場合、
・まずは、同社のファンドへと、出資したい金額を、出資申込したあとで、
・SBIソーシャルレンディングが定める入金期限までに、出資金を振込送金する形となります。

ソーシャルレンディングだけでセミリタイアはできるだろうか。

ソーシャルレンディングだけでセミリタイアは可能か

セミリタイアを夢見る人は、少なくないでしょう。
高い金利で知られる、ソーシャルレンディング。
そんなソーシャルレンディング投資をうまく活用すれば、
セミリタイアも、夢ではないのでは、と考える人も、多くいらっしゃることでしょう。

セミリタイアに必要な資金は。

まず、自分の生活に、毎月どの程度の費用が必要か、慎重に計算してみる必要があります。
理想的なのは、毎月必要な生活費の全てを、金利でカバーすることですよね。
その計算をするためにも、住居費や食費、水道光熱費など、細かいところまで、
自分の毎月の生活費を、まずは一度、計算してみましょう。
家計簿等をきちんとつけたことが無い人は、
これをいい機会に、
家計簿をつけ始めてみると、良いかもしれませんよ。

金利はいくらで考えるか。

次に、想定する期待年利を考えましょう。
ソーシャルレンディング投資の場合、
利回りの高いファンドならば、期待年利が10パーセントを超えるケースもあります。
ただし、そのように高利回りが優先されているファンドの場合、
担保設定などの保全が、いまひとつ、というケースがほとんどです。
平和なセミリタイア生活のためには、
投資の元本が棄損されるようなことは、出来るだけ避けたいですから、
利回り優先ではなく、
利回りを保全効能を、ある程度両立させたようなファンドを中心に、ポートフォリオを組んでいきたいものです。
そのあたりを総合勘案し、まずは、年利5パーセント前後を期待利回りとして設定してみましょう。

それでは、必要な投資元本は、いくらか

たとえば、毎月の必要生活費を、20万円だとしましょう。
また、税金は、一旦、考慮しないこととしましょう。
毎月20万ということは、年間で考えると、240万円です。
予定外の出費もあるでしょうから、きりよく、年間300万円の金利収入を目指す、としましょう。
利回り5パーセントで、年間300万円の金利収入となると、
必要な元本は、6,000万円です。

実際問題として、全元本を5パーセントもの利回りで運用するのは、リスクがある。

ここからは現実問題として、
老後生活のための資金の全額を、ソーシャルレンディング投資に回してしまうことは、
そもそも、賛成できません。
ソーシャルレンディング投資の場合、元本保証が為されているわけではなく、
延滞や、元本棄損のリスクがあるから、です。

ソーシャルレンディング投資の収益だけに期待して、セミリタイア生活を送るのは、いささか、厳しいのでは

上掲してきたような事実を踏まえると、
ソーシャルレンディング投資の収益だけをあてにして、セミリタイア生活を画策するのは、
いささか、リスクが高すぎる、ということとなります。
ほかの収益源と合わせて、もう少し慎重に考えてみるといいでしょう。

ソーシャルレンディング会社の利回りを比較

ソーシャルレンディングファンドの利回りは、事業者によってさまざま。

「ソーシャルレンディング」と一言にいっても、その実際の利回りは、ソーシャルレンディング会社によって、千差万別です。
利回りが高いファンドを集中的に組成しているソーシャルレンディング事業者もあれば、
利回りは低いが、その分、安全性が重視されたファンドの提供を得意としているソーシャルレンディング事業者もあります。
それぞれの特徴を、比較してみましょう。

SBIソーシャルレンディングのファンド利回り

ソーシャルレンディングの場合、
常設型ファンドとして知られる「不動産担保ローン事業者ファンド」の利回りは、5パーセント以下、ということで、
数あるソーシャルレンディングファンドの中では、
比較的、保守的な利回りが呈示されています。
しかし、SBIソーシャルレンディングの提供するその他のファンドの中には、
比較的、利回りの高いファンドも、時折、組成されています。

また、前述の常設型ファンドの場合、
利回りが低い代わりに、不動産担保つき貸付債権への質権設定が為されることが明記されており、
保全、という点では、ある程度、優れたものがあります。

オーナーズブックのファンドの利回り

東証マザーズ上場企業「ロードスターキャピタル株式会社」が運営するソーシャルレンディングサービス「オーナーズブック」の場合においても、
そのファンドの利回りは、
他のソーシャルレンディング事業者のファンドと比較すると、
至極保守的です。

なんといっても、オーナーズブックの場合、
全てのソーシャルレンディングファンドに、国内不動産の担保が設定されている、という特徴があります。
設定されている不動産担保の抵当権の順位や、
貸付総額と担保評価額とのバランス、すなわち、「掛け目」の大小にもよりますが、
保全効能が比較的高いと思われるファンドの場合で、
だいたい、5パーセント前後の利回りが呈示されていることが多いようです。

クラウクレジットのソーシャルレンディングファンドの場合

国際分散投資型ソーシャルレンディング大手として知られるクラウクレジットのファンドの利回りは、
前掲の2つのソーシャルレンディング事業者のファンドの場合と比べて、高い傾向があります。
ただし、クラウクレジットのファンドの場合、原則として、無担保・無保証ファンドがほとんどですので、
保全、という点では、前述の2つのソーシャルレンディング事業者のファンドと比べると、見劣りします。
この点は、忘れてはいけません。